【産業用PC】電解コンデンサーの寿命と故障
2024.04.09技術レポート
ひとつの産業用PCの中に、50個ほど使用されている電解コンデンサー。
このパーツがひとたび不具合を起こせば、産業用PCは故障して動かなくなってしまいます。
弊社への修理ご依頼においても、電解コンデンサーの膨張や破損が非常に多くの割合を占めています。
以下の写真のコンデンサーをご覧ください。
左側のコンデンサー上部が膨らんで変色。乾電池の液漏れのような状態となっていることがお分かり頂けると思います。
こうなると、もうこのパソコンは稼働しません。
とはいえ、コンデンサーを交換することで、こちらのパソコンは復活可能です。
『コンデンサーが破損することでパソコンが停止し、これ以上の破壊を食い止めている』とも言えるのかもしれません。
電解コンデンサーとは
コンデンサーは、小規模な充電池と考えて頂くと分かりやすいかもしれません。電気を一時的に蓄電することにより、電源出力のわずかな乱れを調整することができるパーツです。
何らかの原因で電力の出力が落ちたとき、コンデンサーに蓄えられた電気を補うことで、出力低下が防げるわけです。
多少の電源環境の変化に動じないために、必要不可欠なパーツであると言えるでしょう。
そのため、パソコン内のあらゆる箇所にコンデンサーが取り付けられています。
マザーボード、電源ユニット、グラフィックカード。
その数は50を超え、この中のひとつでも不調を示せば電力がおかしくなり、パソコンは停止。故障となるわけです。
電解コンデンサーの寿命
コンデンサーは、主に2種類。
「アルミ電解コンデンサー」と「固体コンデンサー」があります。
アルミ電解コンデンサー
固体コンデンサー
アルミ電解コンデンサーの寿命は、45℃の環境で10年程度。
固体コンデンサーの寿命はアルミ電解コンデンサーより長く、その4倍程度。
「それなら、アルミ電解コンデンサーをすべて固体コンデンサーに交換すれば安心!」と思われてしまうのですが、実は、アルミ電解コンデンサーと固体コンデンサーは別モノであり、長寿命の方がいいからと言って、取り替えることはできません。
交換の際には、アルミ電解コンデンサーの箇所にはアルミ電解コンデンサーを、そして固体コンデンサーの箇所には固体コンデンサーを取り付けることとなります。
日本ピーシーエキスパートでは、どちらのコンデンサーであっても、高性能な商品を選び、使用していますのでご安心ください。
コンデンサーの寿命は、使用時間ではなく、経過時間に依存します。
つまり、使用頻度の低いパソコンであっても、10年(アルミ電解コンデンサーの場合)~40年(固体コンデンサーの場合)が経過していれば、もう寿命であるということ。
いつ膨張、破損してもおかしくはありません。
PCEXの電解コンデンサー延命のご紹介
非常に多くのコンデンサーが使われているパソコンですが、とくに壊れやすい箇所があります。
それは、CPU周り。つまり熱がこもりやすい場所です。
コンデンサーの調子が悪くなってくると、勝手な再起動が起こったりフリーズする等、おかしな挙動を見せるようになります。この時点で対処をすれば良いのですが、多くの場合「まだ動くし大丈夫だろう」と放置されてしまいます。
そして、ついに起動しなくなり、慌てて弊社へ持ち込まれる……というパターンが少なくありません。
コンデンサーの不調は『進行性』です。
不調が続いていたら、「もしかしたら」と疑って欲しいと思います。
コンデンサーが不具合を示した時の対処方法はただひとつ。
『コンデンサーの交換』しかありません。
適合に合わせ、質がよく高性能なコンデンサーを選び、交換を行うことです。
弊社では、日本製で長寿命タイプの物を使用していますので、交換後は安心してお使い頂けます。(正直言うと日本製以外のものは壊れやすい傾向にあります)
不具合を起こす前であれば、ファン等で適切な冷却を行うことにより、コンデンサーの急速な劣化を落ち着けることも可能です。
また、予防的に先に交換してしまうのも、とても良い方法です。
交換することでコンデンサーの寿命はリセットされますから、大変有効な延命となり、ベストなソリューションと言えるでしょう。
【アレニウスの法則】というものがありますのでご紹介します。
アレニウスの法則
ファンの故障等により、PCの温度が10℃上がると、寿命は半分になってしまいます。
もし20℃上がれば、1/4に。
使用環境を適切に保つことが、コンデンサーの寿命を適切なものとし、パソコンを不調から守ることにも繋がるのです。
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日本ピーシーエキスパートでは、コンデンサーの寿命を計算するオリジナルアプリを開発しています。
以下の画面からコンデンサーの仕様や使用条件を入力頂ければ、寿命があとどのくらい残っているのか、もしくは寿命を超えて何年になるのかを知ることができます。
対応の参考となりますので、ぜひご利用いただき、今後に備えて欲しいと思います。
電解コンデンサー延命の事例
日本ピーシーエキスパートで行った、コンデンサーの交換による延命事例をご案内いたします。
北海道の販売会社A様
計測装置用に使用している産業用PCが突如起動しなくなってしまいました。装置自体はまだまだ使用できる状態であり、どうにかPCを復活させて欲しいと日本ピーシーエキスパートさんへ依頼。すると、不具合箇所の交換だけでなく、今後不具合の起きそうな箇所についてもすべて交換して頂けました。
修理後は、パソコンのスピードが劇的に向上し、サクサクと作業でき快適です。
日本ピーシーエキスパート
分解すると、メインボードと電源ユニット、両方のコンデンサーが破裂している状態だったため、すべて、日本製の高耐久タイプへの交換を行いました。
また、HDDの寿命も大きく超えている状態であることから新品への交換をご提案。交換希望のお返事を頂きましたので、産業用高耐久SSDをご用意し、特殊機械にてデータやアプリをそっくりそのままコピーした上で交換を行いました。
PCの動作はもちろんのこと、起動や終了等が劇的に速くなり、大変お喜び頂けました。
千葉県のリフォーム会社O様
業務管理システムのサーバーが突如起動不能になってしまいました。業務停止の状態であり、大変困ってしまい、日本ピーシーエキスパートさんへ最短での復旧を依頼しました。
すると、すぐに対応頂き、業務が無事復旧。本当に助かりました。
日本ピーシーエキスパート
確認したところ、本体のコンデンサー破裂による停止がわかりました。さらに、HDDも寿命を大きく超えての使用だったため、とても危ない状況であることをご説明しました。
お客様の希望に沿う修理と延命措置を施し、業務管理システムが復活しましたので、大変よろこんで頂けました。業務復旧が叶い、良かったです。
古い産業用PCの不調でお困りなら、経験豊富なプロによる電解コンデンサー交換をおすすめいたします。
当社のサービスや事例について資料でまとめてご確認いただけます。
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社内での検討や事例をまとめてご覧になりたい方のために、日本ピーシーエキスパートのサービス紹介や会社概要をPDF にてご用意しました。
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