産業用PCとは?個人向けPCとの違いを延命のプロが解説
2024.08.06延命コラム
今回は、産業用PCと個人向けPCの違いについてお話いたします。
“産業用”と付くと、何だか丈夫で壊れなさそうなイメージですが、個人向けPCとの違いについて、詳しくご存じではない方が多いように感じます。
まずは産業用PCについてきちんと知ることで、正しくメンテナンスを行い、故障を避けて長く使っていただきたいと思います。
産業用PCと個人向けPCの違い
産業用PCとは
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工場などの製造現場の設備の制御装置用PCであったり、医療機関における医療機器用PCなど、長時間稼働させるヘビーな環境を想定して作られたコンピュータを「産業用PC」と言います。
24時間365日の連続稼働を想定し、耐用年数も10年程度と長期の設定をしてあります。長期かつ連続運転に強いコンピュータとして最初からBtoB用に製造されているPCです。
また、工場など高温・高湿度・粉塵・揺れといった過酷な環境も想定されており、温度特性・耐湿性・防塵制・耐振動性に優れているというのも大きな特徴だと言えます。
産業用PCは、パーツ等のハード面において、安易なモデルチェンジを行われないことが多いです。それは、「生産終了で部品が手に入らない」という事態を避けるためでもあります。
「モデルチェンジの頻度を低くする=同じ型式のパーツを生産し続ける」ということであり、これが、万が一の際にパーツを安定供給する体制に繋がるわけです。
個人向けPCとは
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一般的に販売されているPCで、家電店やネットで手軽に購入でき、待つことなく、すぐに手に入れることが可能です。
価格的にも最近はかなり押さえられており、今なら数万円で手に入るモデルも多く揃います。よって、個人向けPCを、工場や医療現場において使っているパターンは決して少なくありません。
ただ、便利に使える一方で、設備などで使用するには懸念点が数多くあります。
例えば、耐久性。
個人向けPCは、1日8時間程度の稼働を想定。その上、使用環境もオフィスや自宅といった快適な環境が見込まれた仕様となっています。
そして、耐用年数は5年程度。産業用PCの想定とはあまりにかけ離れていることが分かります。
また、安易なモデルチェンジを行わない産業用PCに比べ、個人向けPCは1~2年毎に新モデルが登場。それによって、内蔵パーツがガラリと変わることも珍しくなく、万が一の事態となった際、「生産終了で部品が手に入らない」となってしまうこともあり得る話です。
産業用PCの特徴
日本ピーシーエキスパート
産業用PC延命のプロとして特徴をいくつか挙げますと、FAPCは拡張ボードの数が個人用PCとは全く違います。
産業用PCの拡張ボード
拡張ボードの数が多い理由として、産業用PCの場合はインターフェイスがないと機械が動きません。そのため、拡張性を備えておく必要があり、設備によっては10枚の拡張ボードが必要な場合もあります。
産業用PCの内部パーツの素材としては鉄が使われており、耐久性と信頼性のため板厚が厚いのが特徴です。個人向けPCの内部パーツのほとんどはアルミで出来ていますので強度や耐久性で劣ります。
個人向けPCの内部
冷却ファンも産業用PCは鉄で出来ており、ボールベアリングが使用されてますので摩耗が少なく高温でも作動することができます。個人向けPCの冷却ファンとは寿命や性能が全然違います。
上が個人向けPC用の冷却ファンで、下が産業用PC用の冷却ファン
産業用PCの場合、電源をオンオフする回数も非常に多く、耐久性を重視して作られています。
上が産業用PC用、下が個人向けPC用の電源スイッチ
このように産業用PCはかなり丈夫な作りとなっており、過酷な条件での使用に耐えられる仕様で安心です。
しかし、産業用PCは高価であることや納期がかかることなどから、比較的手に入れやすい個人向けPCで代用している工場・企業・現場も大変多いと言うのも事実ではあります。
産業用PCの種類
FAコンピュータ(FAPC)
アドバンテック社のFAPC
形状は個人向けPCと似ているのですが、導入先の工場や現場のニーズに合わせ、対応する機能を組み込めるのがFAパソコンです。
生産ラインの自動化や制御、医療分野、交通機関、設備管理、物流制御など、あらゆる分野での導入が見られます。
メーカー例)
NEC、日立、東芝、富士通、Advantech、コンテックなど
タッチパネルPC(パネコン)
コンテック社のパネコン
タッチパネルPCは、タッチパネル機能のある液晶に、コンピュータ機能を備えたもの。
本体やキーボードが無いため大変省スペースで、設置のしやすさが大きな特徴です。
工作機械の製造装置を操作したり、生産ラインの指示端末などに便利に使えます。
メーカー例)
コンテック、富士通ジーメンスなど
組み込み用PC
ジーメンス社の組み込み用PC
組み込み用PCは、製造装置や検査装置、乗り物、IoT機器などに内蔵されることを前提としたPCです。装置の制御や操作などに用いられます。
その名の通り組み込まれて使用されるため、限られたスペースに設置できるよう、サイズは小さくなっています。
メーカー例)
コンテック、アドバンテック、NECなど
産業用PCを使っていれば安心?
「産業用PCは安心な選択である」と書いてきました。
確かに、個人向けPCと比較すると、その安心感は非常に大きいものであると言えます。
しかし、過信はいけません。
産業用PCであっても、絶対壊れないわけではないのです。
産業用PCにも、定期的なメンテナンスは必要です。
耐用年数を大きく超えて使用していると、当然ながら不具合は発生しやすくなります。
決して、「産業用PCだから何もしなくて大丈夫」ということではありません。
“産業用PC”という言葉が力強く感じられるせいか、無敵のように思い込んでいる方が多くおられます。しかし、産業用PCであっても、いつかは壊れます。
その“いつかを把握”し、“コントロールするため”に有効なことが、定期的なメンテナンスです。
不具合が発生してから慌てて、修理会社を探すのではなく、安定的に稼働しているうちからメンテナンスを施すことが重要です。
日本ピーシーエキスパート
当社では産業用PCが故障する前の延命を行っております。
産業用PCが故障する前の延命
古い産業用PCの突然の故障で困らないために
工場など生産の現場や、医療、交通機関、設備管理、物流など、24時間365日の稼働が求められ、「停止は決してあり得ない!」という現場において使うのであれば、個人用PCの流用ではなく、絶対、産業用PCを選択すべきなのは言うまでもありません。
安心と安全のため、ここは妥協してはいけない部分だと断言できます。
とはいえ、「“産業用PCを使っている”という気持ちが油断を生んでいる」というのも、実際の現場ではよく起きています。
産業用PCであっても、過酷な現場での使用で平気なわけがありません。
定期的に状態を確認し、オーバーホールを行い、劣化した部品を交換し、適切な状態を保つことが企業としてとても大切な事だと言えます。
また、使用中の産業用PCのシステムを丸ごと、そっくりそのまま作り上げるミラーコンピュータ制作もオススメいたします。
予めミラーコンピュータを用意しておけば、使用中のパソコンが故障し、停止してしまったとしても、すぐに入れ替えを行い、最短で稼働を再開することが可能になります。 ミラーコンピュータの制作は、企業にとっての最大のリスクマネジメントなのです。
今回は、産業用PCについてご案内してきました。
個人向けPCと比較して過信しないことが大事です。
そして、ぜひ産業用PCの定期的なメンテナンスをご検討いただければと思います。
日本ピーシーエキスパートでも、必要なタイミングごとに適切なフォローアップを行い、安全安心に、長くお使い頂けるよう、サポートをさせていただきます。
もちろん、不具合が発生した場合も、日本ピーシーエキスパートにお任せください。
業務への影響を少なくするために最大限の対応をさせていただきます。
簡単に「無理です」と断ることはない。
それが、私たち日本ピーシーエキスパートです。
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