延命コンサルの現場から
COLUMN

熱による産業用PCの部品故障の原因と対策

2024.01.08延命コラム

熱による産業用PCの部品故障の原因と対策

実は産業用パソコンの故障原因で一番多いのが【熱】によるものです。
パソコン内部からの排熱が上手くいかず、故障してしまう事例がほとんどだと言っても過言ではありません。
というのも、パソコンを稼働させることで熱の発生は避けようもなく、電子回路が作動し、計算量が増えれば、60℃を超えることも少なくない状態。
それが排熱されず溜まったままとなれば……部品はどんどん劣化していくことになります。

大事なことは、発生した熱をどう排出していくか。
今回は、熱による産業用パソコンの故障を避けるため、私たちが行う熱対策について、独自の手法も含め、解説していきたいと思います。

産業用パソコンの寿命と温度の関係

【アレニウスの法則】というものがあります。

アレニウスの法則

これは、【温度を10℃下げれば、寿命が2倍延びる】というものです。
つまりは、温度が高い状態を放置するということは、劣化を助長させていることに他なりません。

ファンの故障により温度が10℃上がると、寿命は半分に。
もし20℃上がってしまえば、1/4に。

先ほど、パソコンの稼働による熱の発生は避けようがないのだと書きました。ファンが故障すれば、10℃や20℃の上昇はあっという間です。

     
  • パソコンに、急激な温度変化が起こっていませんか?
  •  
  • ファンはきちんと稼働していますか?

これらのことを、日頃からきちんと確認しておくことが、産業用パソコンを延命させる上でとても重要なことだと言えるわけです。

また、アレニウスの法則は、すべての工業製品に適用する事柄です。
パソコンを構成する部品のひとつ一つに当てはまる訳ですから、急激な温度上昇を放置するということは、あらゆる箇所の劣化をまねき、不具合をもたらしてしまうということに他なりません。

今、業務でお使いの産業用パソコンを長く使っていくために、パソコンの冷却機能向上について、考えてみて欲しいと思います。

当社が行う冷却強化・延命について

では、私たち日本ピーシーエキスパートが行う冷却の強化法について、一例をご案内したいと思います。

ご依頼の際には、以下の方法と、それ以外のあらゆる対策を組み合わせ、ご依頼の旧型PCに合わせた最善策を作り出し、対応して参ります。

冷却ファンの交換

冷却ファンの交換

パソコンを冷却させるため、重要な役割を担っているのが冷却ファンですが、ホコリなどで目詰まりが起こって性能が発揮できなかったり、経年による劣化で壊れている(壊れかけている)など、不具合の生じやすい部品でもあります。

その要となる部品を、耐久性の高いボールベアリング軸受け製品に交換いたします。
高性能パーツに交換することにより、安定した冷却ファンの稼働が叶えば、安心して業務にパソコンを使用することができるようになります。

PC故障検知IoTシステム

このシステムは、当社が独自で開発したシステムです。

PC温度監視IoTシステム(自社開発)

PC温度監視IoTシステム(自社開発)

PCの温度監視画面(自社開発)

PCの温度監視画面(自社開発)

延命した産業用パソコンにIoTシステムを設置することで、パソコン内部の温度を常に監視します。
PCの設置場所にWi-Fi環境がない場合でも、DoCoMo IoTプランを使用することで監視ができるようになっております。

もし異常値が検出された場合は、すぐに当社へメールにて通知が入る仕組みとなっており、気付かぬうちに熱による故障が発生することを避けることができます。
もちろん、異常を検知した場合はすぐにご連絡の上、修理対応が可能です。

PC故障を未然に察知できる、保険のようなシステムだと考えております。

ヒートシンクの取り付け

ヒートシンクの取り付け

HDDを交換する際、排熱性能を上げるため、ヒートシンクを取り付けることがあります。これは、表面積を格段に増やすことにより、HDDから排出される熱を早く外へ逃がし、冷却効果を高めるためのパーツです。HDDの長寿命化が狙えます。

オーバーホール

オーバーホールとは、部品を分解し、そのひとつ一つに対して点検や洗浄、修理を行う技術のこと。時計や車においてよく行われる手法ですが、日本ピーシーエキスパートでは、産業用パソコンにおいて豊富なオーバーホール実績がございます。

オーバーホール

オーバーホールについてはこちらで解説してますのでご覧ください。

オーバーホール

このオーバーホールも、冷却強化には有効な方法のひとつです。

例えば、パソコン内部へのホコリの付着。また、グリスの硬化やサビが発生している場合においては、放熱がままならない状態であると言えます。
そこで、細部にまで丁寧に分解し、汚れやホコリを取り除き、洗浄、劣化した部品を交換することで快適な環境を取り戻し、放熱しやすい状態にするわけです。

購入後、何のメンテナンスもされていないのであれば、ぜひ、オーバーホールをご検討ください。
冷却強化をはじめとし、パソコンの状態を適正にするための対策としてオーバーホールはおすすめいたします。

熱による部品故障の延命実績

日本ピーシーエキスパートで行った、冷却性能の向上も含めた改善事例をご案内します。

K社様

某商社F様

産業用PCにて作業を行っていますが、使用歴が長く、いつクラッシュを起こしてもおかしくないと感じており、日本ピーシーエキスパートさんにご相談をいたしました。
すると、アプリ環境やOS、データのすべてを復元できるバックアップが可能だと伺い、これしかないということで、バックアップHDDの作成を依頼することに。また、プラスアルファとして、より冷却性能をアップさせた仕様とするご提案を頂き、そちらもお願いしました。
より安心の環境が整い、今は、安心することができています。

日本ピーシーエキスパート

日本ピーシーエキスパート

個人によるバックアップの場合、作成したつもりでも、いざという時に確認すると失敗していたというケースが、多く発生しています。また、バックアップの内容においても、単にデータを保存するだけに留まり、アプリ環境はバックアップできておらず、結局使い物にならないということも。
日本ピーシーエキスパートの行うバックアップとは、データはもちろん、アプリ環境やOSのすべてをバックアップすることを指します。そのため、万が一のトラブル時には、繋げるだけで即元通りの状態にすることが可能です。
今回のHDDバックアップにおいても当然その対応にて行い、さらに、HDD寿命向上のため、ヒートシンクを取り付け排熱性能を上げたものとし、大変ご満足いただきました。

日本ピーシーエキスパートには、熱暴走によるクラッシュを起こし、緊急事態となってから駆け込まれるお客様が後を絶ちません。
もちろん、元の状態へ戻すためにありとあらゆる手段を駆使し、対応して参りますが、本来であれば、最悪の事態になる前に対策を施すことこそ、理想の形だと思っております。

そのためにお勧めしたいのが【定期的なオーバーホール】であり、【PC故障検知IoTシステム】の設置です。
故障する前にいち早く異常を見つけ出し、先手を打つ。
それこそが、産業用パソコンの本来の運用方法です。

当社のサービスや事例について資料でまとめてご確認いただけます。

古い産業用パソコン 修理・延命のご提案

社内での検討や事例をまとめてご覧になりたい方のために、日本ピーシーエキスパートのサービス紹介や会社概要をPDF にてご用意しました。

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このコラムを書いたコンサルタント

森田 起也

森田 起也(もりた たつや)facebook

株式会社日本ピーシーエキスパート

幅広いスキルや経験を生かして、メーカーや修理会社が絶対に行わないような、マニアックな修理を得意としている。お客様のご要望・ご希望を受けとめたうえで、最も費用対効果の高い延命方法を提案する技術者。