延命コンサルの現場から
COLUMN

【オーバーホール】古い産業用PCの延命技術

2023.12.01技術レポート

【オーバーホール】古い産業用パソコンの延命技術

バイクや腕時計でよく聞かれる「オーバーホール」。機械や装置そのものに対し、ひとつ一つの部品にまで分解・点検を行い、精度を回復させるために必要な洗浄、及び修理、部品交換などの処置を行う技術を言います。
弊社では、このオーバーホールを、古い産業用パソコンに対し行うことが可能です。
ノーメンテナンスで長年現場で使われているパソコンに不調が出る前に、ぜひご検討ください。

なぜ旧型PCはオーバーホールが必要なのか

パソコンにとって、一番の敵となるのが、経年劣化です。
パソコン内に使われている各部品が、時の経過と共に劣化すれば、例え産業用パソコンであったとしても、不調に見舞われることとなってしまいます。

とはいえ、生産現場で使われているパソコンを『買い換える』ことは容易なことではありません。

     
  • 専用のアプリを使っている。
  •  
  • 全てのシステムが組まれている。
  •  
  • 長時間、作業を止められない。

等、様々な理由により、今お使いのパソコンを「使い続けなければならない」という企業が多い現状、綱渡りのような日々からの脱却を、弊社は進めて参りたいと思っています。

経年劣化と故障率の関係

貴社で使用されているパソコンは、導入から何年が経過しているでしょうか?
「10年以上」である場合には、確実に、危険な状態です。何のメンテナンスも行っていない場合、いつ壊れてもおかしくはありません。
それは、耐環境性、耐久性に優れた産業用パソコンであってもです。
つまり、システムの稼働に産業用パソコンではなく、一般用パソコンをお使いの企業であれば、尚更だと言うことになります。

パソコンは、使用年数に比例し、故障率が上がります。
その故障率を抑えるために行うのが、冷却強化とオーバーホールです。

清掃、調整、有寿命部品の交換

オーバーホールの内容について

お預かりしたパソコンは、ひとつ一つの部品に至るまですべて分解します。
そして、劣化箇所を特定。必要に応じたメンテナンスを行います。

オーバーホールの内容について

その内容は、洗浄や修理、部品交換など。
部品によっては、国内調達が不可能なこともありますが、その場合には、全世界から情報を集約し、取り寄せて対応します。
また、最も故障しやすいHDDについては、SSDへ交換することも可能です。これにより、耐用年数の向上だけでなく、動作速度の改善や信頼性の向上も同時に実現することになりますから、大変お勧めの措置と言えます。

<長期使用による、劣化箇所>

     
  • 内部配線・コネクタの接触不良
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  • CPU熱伝導グリスの硬化
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  • ヒートシンクの汚れ・ホコリ付着
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  • ゴム部品、ケーブルの硬化
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  • ファンベアリング・軸受けのグリス乾燥・硬化
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  • 電解コンデンサー容量劣化・液漏れ・破裂
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  • シャーシ等の部品のさび・腐食
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  • 半田クラック
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  • ゴム部品の加水分解・硬化
  •  
  • HDDの劣化
  •  
  • FDDプーリーベルト硬化・故障
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  • プリント基板腐食
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  • 内蔵電池劣化

FDDの分解写真・劣化ベルト(下)

FDDの分解写真・劣化ベルト(下)

FDDの新品ゴムベルト(ロボット等のメカトロ用を流用)

FDDの新品ゴムベルト(ロボット等のメカトロ用を流用)

これらの不具合にいち早く気付き、対策を行えるのが、オーバーホール。古いパソコンであっても大丈夫です。パソコンが稼働している「今」のタイミングで、ご検討頂ければと思います。

PCEXのオーバーホール作業の特徴

弊社の行うオーバーホール作業の中で、洗浄と交換、コーティングについて、ご説明いたします。

接点復活処理

専用の薬品を使い、必要に応じ、接点の酸化膜洗浄を行います。
箇所としては、最大60か所。少ない場合だと、20か所程となります。これは、パソコンの状態や作業内容により、変動します。

オーバーホール作業内容①

コンデンサ交換

パソコンに、約50個使われているコンデンサ(電解・個体)。このコンデンサの寿命により、電子回路が不調となってしまうことが非常に多い(電子回路の寿命原因の83%が、コンデンサの寿命)ため、新品への交換を行います。
コンデンサの寿命は5~10年程度。そのタイミングに合わせてのオーバーホールが必要だと言えるかもしれません。

オーバーホール作業内容②

劣化コンデンサ(左)と日本製高性能コンデンサ(右)

劣化コンデンサ(左)と日本製高性能コンデンサ(右)

基板コーティング

長年の使用により、パソコン内部の電子部品表面には、ほとんどの場合、汚れが蓄積しています。さらには、湿気により、半田が腐食することもあります。
その汚れや腐食をしっかりと除去した後、特別に開発されたコーティング剤を使用し、無色透明の絶縁被膜コーティングを形成します。それにより、プリント基板の吸湿やハンダの腐食を防ぎ、耐久性・信頼性の向上が図れます。
安心して使うために、大変有効な作業のひとつです。

基板コーティングについて

日本ピーシーエキスパート

日本ピーシーエキスパート

古い産業用パソコンの場合、メーカーの部品保有年数が過ぎてしまい、部品によっては調達が難しい場合もございます。しかし弊社では、リサイクル部品を求め、国内外より調達を行います。そして、それでも難しい場合には、互換部品の選定をいたします。
すべての部品調達を保証するものではありませんが、これまでのノウハウを駆使し、可能な限りの対応をさせて頂きます。

経年劣化がどんどん進めば、オーバーホールでは対応しきれない場合があるのも事実です。しかし、一度パソコンを拝見させて頂くことにより、寿命の問題から解放される“仮想化”を含め、あらゆるご提案が可能となります。
弊社は、お客様のパソコンの状態や使用状況に応じた、様々な可能性をご提示できます。
ご不安なことがありましたら、まずはご相談ください。

オーバーホール事例

日本ピーシーエキスパートでのオーバーホールの事例について、行った対応をご紹介いたします。

研究所K様

研究所K様

測定器用に使用しているパソコンが、頻繁に落ちるようになりました。このような状態では正確な測定が行えず、作業効率も落ちてしまい、使い物になりません。とはいえ、パソコンの買い換えは難しく、「安定稼働するようにして欲しい」と日本ピーシーエキスパートへ作業依頼を行いました。
すると、各種部品交換を行って頂き、安定稼働するようにして頂けました。アプリや設定はすべて元のままなので、研究もすぐに続行することができ、安心しています。

日本ピーシーエキスパート

日本ピーシーエキスパート

オーバーホールを行い、メインボードの電解コンデンサを、すべて交換。延命を施しました。また、電源ユニットに関しても劣化が進んでいたため、こちらの電解コンデンサも交換を行いました。
HDDに関しては、使用時間が5万時間を超え、耐用を遥かに超えていたことから、SSDへの交換をご提案。お客様より、交換希望とのお返事を頂き、こちらも対応し、納品いたしました。
納品後は、元の状態のまま使って頂けるよう測定器用アプリ、設定、レシピファイルをすべてそのままとしましたので、大変喜んで頂けました。

群馬県企業A様

群馬県企業A様

測定器の制御用パソコンが、突然のエラーで動作不能となり、大変困った状態に陥りました。我が社にとって、必要不可欠なパソコンであり、どうにかして欲しく、日本ピーシーエキスパートへ依頼。すると、オーバーホールを行うこととなり、故障箇所の特定と交換にて、使用可能な状態にして頂きました。
各所、新品に交換し、これからは安心して使えます。本当に感謝しています。

日本ピーシーエキスパート

日本ピーシーエキスパート

オーバーホールを行ったところ、メインボードコンデンサ不良、電源ユニット電圧低下、HDD重度物理障害という三重苦の状態で、難しい部類の修理となりました。
HDDに関しては、以前使用していたHDDがあったことが幸いで、このHDDを新品HDDに移植するご提案を行い、作業を実施。
他、メインボードコンデンサ交換、電源ユニットオーバーホールも行い、再稼働できるようになり、修理を完了しました。
今回、故障の恐れのある部品はすべて新品交換としましたので、今後は安定的に測定器が使用できることと思います。

産業用パソコンでも、長年使い続けることにより、劣化していきます。もちろん、汚れも蓄積します。
オーバーホールを行い、リフレッシュさせることは、快適にパソコンを使い続けるために必要不可欠な作業だと言えます。

また、オーバーホールを行うことで、気付かなかった不具合の発見にも繋がります。

産業用パソコンのオーバーホールは10年を目安にご検討ください。

当社のサービスや事例について資料でまとめてご確認いただけます。

古い産業用パソコン 修理・延命のご提案

社内での検討や事例をまとめてご覧になりたい方のために、日本ピーシーエキスパートのサービス紹介や会社概要をPDF にてご用意しました。

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故障修理・延命についてのご相談は

お問い合わせ

寿命診断

担当コンサルタント

森田 起也

森田 起也(もりた たつや)facebook

株式会社日本ピーシーエキスパート

幅広いスキルや経験を生かして、メーカーや修理会社が絶対に行わないような、マニアックな修理を得意としている。お客様のご要望・ご希望を受けとめたうえで、最も費用対効果の高い延命方法を提案する技術者。