延命コンサルの現場から
COLUMN

【地方自治体の事例】インフラ設備における古いFAPCが抱えるリスクと対策

2024.12.17延命コラム

「インフラ設備」古いFAPCのリスクと対策

インフラ施設の運営では、コンピューターによるシステム制御が当たり前となり、多くの現場でFAPC(産業用PC)が活用されています。

例えば、電気・石油・ガスといったエネルギー関連分野では電力供給の運用監視や制御システムに、運輸・交通インフラ業界では交通システムの管理や監視などにFAPCが用いられています。

当社にPC延命のご相談をいただいたある地方自治体様では、プラント施設の監視システムにFAPCを使用しており、老朽化が進む中でトラブルが発生していました。

本記事では、そのFAPCの故障が引き起こした問題と、それを解決するために採用した「仮想化」というアプローチについてご紹介します。

FAPCの老朽化が引き起こす課題

FAPCは、過酷な環境や長期間の連続稼働を前提に設計されており、家庭用PCと比べて高い耐久性を持っています。しかし、精密機械である以上、寿命がある点は避けられません。

特にインフラ現場で使用されるFAPCでは、連続稼働が求められるため、HDDや電源、冷却ファンといった内部部品が劣化しやすくなります。

定期的なパーツ交換やメンテナンスを行えば寿命を延ばすことは可能ですが、その分保守コストが増大します。また、昨今のように世界的な部品不足の状況下では、故障時に必要な部品が入手困難になるケースも多く、交換ができないために設備の停止が長期化するリスクもあります。

このように、FAPCの老朽化はシステム停止や運用効率の低下といったさまざまなリスクを高め、突発的な故障を完全に防ぐことは困難です。

特に、稼働を止めることが許されないインフラ設備を管理する方々には、このリスクを十分に理解し、適切な対策を検討していただくことが重要です。

FAPCの老朽化

地方自治体におけるインフラ設備のFAPC延命事例

FAPCの入れ替えには多額のコストがかかるため、耐用年数を超えて使用されている施設も少なくありません。

特に予算が限られる地方自治体様では、老朽化したFAPCを可能な限り延命させる選択を迫られることが多いというのが現状です。

実際、当社にご相談いただいたある地方自治体様でも、長年使用していた監視システム用のFAPCが故障したことで対応を求められました。限られた予算内でどのように解決するかが大きな課題でした。

プラントの監視システムで使用していたFAPC

プラントの監視システムで使用していたFAPCにトラブルが発生

地方自治体様

地方自治体様

突然PCが使えなくなり、プラントで実際どのぐらいの処理がされたのか、重要なデータが見れなくなりとても困りました。

ご担当者のA様は、まずプラントメーカーに相談をされましたが、PC単体の修理は対応できないと断られ、全設備の更新を提案されたとのことです。

しかし、プラント設備の更新には莫大な費用と時間がかかるため、急な対応は現実的ではありません。そのため、A様はより現実的な解決策を模索され、当社にFAPCの延命についてご相談いただきました。

日本ピーシーエキスパート

日本ピーシーエキスパート

A様のご要望や今後の計画を詳しくヒアリングさせていただき、費用対効果を考慮した複数の延命プランをご提案しました。その中で、最終的に仮想化をご採用いただきました。

地方自治体様

地方自治体様

FAPCを20年使っているのは、長い方かもしれません。しかし、プラント全体の寿命としてはまだまだ短く、少なくとも50年は使うことを前提に考えています。今回、PCを仮想化できたことで、他のハードウェアの更新時期までPCの更新を先送りできました。

また、仮想化の導入には、費用対効果だけでなく、いつ故障するかわからないという不安を解消する効果もありました。

地方自治体様

地方自治体様

長期間インフラ設備を止めることなく、早期に業務を再開できたのは仮想化のおかげです。もし修理だけで済ませていたら、他の部分がいつ故障するかわからないという不安が残ったままだったと思います。

インフラ施設に仮想化をすすめる理由

今回の地方自治体様で採用いただいた「仮想化」は、経年劣化による問題を回避できる、究極のPC延命方法と考えています。

仮想化について簡単にご説明しますと、OS、設定、データ、データベースシステム、アプリケーションなど、システム全体をひとつのファイルとして扱い、それを最新のコンピュータ上で動作させる技術です。

たとえば、現在稼働しているコンピュータが故障した場合でも、仮想化が導入されていれば、仮想化ファイルのバックアップをもとに、予備のコンピュータ上で仮想環境を構築し、システムを迅速に再稼働させることが可能となります。

仮想化イメージ

インフラ施設において、設備の停止はたとえ一時的であっても許されません。制御アプリケーションが使用できなくなるリスクを回避するためにも、仮想化は必須の対策といえます。

日本ピーシーエキスパートでは、豊富な仮想化実績を持っています。仮想化にご興味をお持ちの法人様は、ぜひお気軽にご相談ください。

仮想化について詳しくは、以下のページをご覧ください。

まとめ

FAPCの老朽化問題は、インフラ運営の現場に大きなリスクをもたらします。

こうしたリスクを回避するためには、計画的に新しいFAPCやソリューションを導入することが理想的です。しかし、地方自治体様のように予算に制約がある場合、すぐに更新が難しいケースも少なくありません。

そのような場合の選択肢として、「仮想化」による延命方法をぜひご検討いただきたいと考えています。仮想化を導入することで、ハードウェアへの依存を減らし、万が一のトラブル時にもシステム移行がスムーズに行えるようになります。

日本ピーシーエキスパート

日本ピーシーエキスパート

仮想化による延命は、ハードウェア更新の柔軟性を確保しつつ、コストを抑える効果的な手段として最適です。ぜひご検討ください。

当社のサービスや事例について資料でまとめてご確認いただけます。

古い産業用パソコン 修理・延命のご提案

社内での検討や事例をまとめてご覧になりたい方のために、日本ピーシーエキスパートのサービス紹介や会社概要をPDF にてご用意しました。

pdf資料ダウンロード

故障修理・延命についてのご相談は

お問い合わせ

寿命診断

担当コンサルタント

森田 起也

森田 起也(もりた たつや)facebook

株式会社日本ピーシーエキスパート

幅広いスキルや経験を生かして、メーカーや修理会社が絶対に行わないような、マニアックな修理を得意としている。お客様のご要望・ご希望を受けとめたうえで、最も費用対効果の高い延命方法を提案する技術者。