PLCラインが止まる?古いPCの見落としリスク
2025.7.22延命コラム
製造業において、生産ラインやプラント設備の中核を担うPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)は、近年更新が進んでいます。
しかしその一方で、PLCと連携する制御用PCは10年以上前の旧機種のまま使われている現場が、今なお多く見受けられます。
PLC自体は比較的、堅牢な構造なので長寿命ですが、接続されているPCは「OSがWindows XPのまま」「HDDの稼働時間が寿命を超えている」など、危険な状態で使用されているケースが少なくありません。
「まだ動いているから大丈夫」と思っていても、そのPCが突然故障すれば、PLCが正常でも生産ラインは止まってしまいます。そんな“見落としリスク”が現場には潜んでいるのです。
PCトラブルがPLCへ与える影響
生産ラインでは、PLCとPCが協力し合って設備を制御しています。
例えば、PLCがモーターやシリンダーなどの機器をリアルタイムに制御する「頭脳」だとすると、PCは操作画面や計測ログ、製品の検査情報、帳票出力などを管理する「神経」のような役割です。つまり、PLCが「動かす」、PCが「見せる・記録する・操作する」という関係性と言えますので、どちらか一方が止まっても、生産ライン全体が機能不全に陥ることになります。
実際に私たちがPCトラブルのご相談をいただき、現場にお伺いすると、以下のようなトラブルが発生しているケースが多いものです。
- OSが立ち上がらないので、操作画面が表示されない
- HDDがクラッシュして、ログや検査結果が記録できない
- PCの電源が突然落ちて立ち上がらず、設備が動かせない
- 予備機がないことで代替機の調達に数週間?数ヶ月、その間は生産停止
これらのトラブルは、突発的に発生します。
これまで「止まるはずがない」と思っていた設備が突然止まることで生産ができなくなるなど大きな損失をもたらします。
「壊れてから」では選択肢が限られる
古いPC延命の専門家として言えることは、PCが故障してしまったあとでは、選択肢が限られてしまうということです。
古い機種であれば、同型機の新品調達はまず不可能ですし、修理する場合でも部品が市場になく、すぐに修理できないケースも考えられます。
緊急であればあるほど対処が非常に困難となりコストもかかってしますので、まだ動いているうちに手を打っておくことが、生産現場における最大のリスクマネージメントになります。
そこで、当社が行っている延命ソリューションを3つご紹介いたします。
対策① 修理・延命で「あと5年」を稼ぐ
現在のPCを分解し、故障リスクが高いパーツ(HDD・電源・FANなど)を事前交換。
その上でクリーニング・動作検証を行い、あと3~5年の延命を実現します。
対策② 仮想化で古い環境を「新しいPC」へ移行
古いOS(Windows XP/NT/DOSなど)を仮想マシン化し、最新PC上で再現。
ハード制約をなくし、「見えない寿命」から解放される延命方法です。
対策③ ミラーPC・予備機を用意する
現行PCと同じ構成のミラー機を準備し、故障時にすぐに差し替えられる運営体制を構築。
実際に導入した企業様では、この「安心感」が大きな経営資産となっているとよくお聞きします。
【PLC延命事例】シードシステムズ株式会社様の取り組み
制御盤やプログラム設計を手がけるシードシステムズ株式会社様がご担当された製薬会社の製造ラインで、約20年間稼働し続けた産業用PCが突然故障し、生産停止の危機に直面しました。
このPCは古いPLCと連携しており、設備全体を更新すると数億円規模のコストがかかり、また、既存メーカーからも対応を断られ、技術的なサポート先が見つからない状況でした。
この課題に対し、日本ピーシーエキスパートでは、費用対効果を比較できる複数の延命プランを提示。最終的に古いOS・ソフト環境のままPCを再現し既存設備との互換性を確保する延命修理を導入いただきました。
この結果、わずか数百万円の修理費用で数億円規模の設備更新を回避し、生産ラインの安定稼働に成功しました。
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