古い産業用PCのマザーボード故障が業務に与える影響と対策
2025.2.10延命コラム
業務で使用している産業用PCが突然故障すると、現場はパニックになり、その対応に追われ、仕事どころではなくなります。
とくに10年以上使っている産業用PCは故障する確率が高く、その原因としてマザーボードが故障しているケースが多々見られます。
すぐに新しいPCへシステム移行できればいいのですが、古いOSでしか動かない業務用システムを移行するのは容易ではありません。
ただ、知っておいていただきたいのが、古い産業用PCのマザーボードが故障しても、復旧は可能だということです。
当社では適切なマザーボードを世界中から調達し交換修復を行うことで、20年以上使われているような産業用PCであっても、再び業務で使えるような延命を実際に行っています。
古い産業用PCのマザーボードが故障した時に取るべき具体的な対策についてご紹介したいと思います。
マザーボードの役割
マザーボードは、主要なコンポーネント(プロセッサ、メモリ、ストレージ、入出力ポートなど)に接続し、データと電力を各コンポーネント間で送受信する役割を担っています。
FAPCにおいて、マザーボードは単なる「部品」ではなく、システム全体を支える「心臓部」と言えるほど重要なパーツです。
主な役割としては
- CPU(中央処理装置)とメモリ(RAM)のデータ伝送
- ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)とのデータ読み書き
- 入出力デバイス(キーボード、モニター、センサーなど)との接続
- デジタル入力・出力(GPIO)やシリアル通信(RS232, RS485など)の管理
- イーサネットやUSB、PCIeなど、産業用機器との接続インターフェースの提供
など多岐に渡ります。
マザーボードはそのような重要な役割を担っていますので、
マザーボードが故障=産業用PCの停止
となってしまうのです。
マザーボードの故障が業務に与える影響
マザーボードの故障は、単なるハードウェアのトラブルにとどまらず、生産ラインやシステム運用など業務に重大な影響を与えます。
例えば、工場の製造ラインが停止してしまうと、製品の生産ができないだけでなく、企業の信頼性などにも多大な影響を与えます。
想定される主なリスクや影響としては
1. 生産ラインの停止リスク
多くの企業では、産業用PCが生産ラインや機械の制御を担っています。マザーボードが故障すると、これらの機械や設備との通信が断絶し、生産ラインが停止する可能性があります。
- 影響例:自動車製造工場でのライン停止や、食品加工業での生産停止など
2. データの喪失や障害
マザーボードの故障によって、ハードドライブやメモリ、さらにはリアルタイムで計測されている重要なデータ(温度、圧力、速度など)の取得が止まることがあります。これにより、生産や運用に必要なデータが失われ、記録や管理ができなくなることがあります。
- 影響例:製造工程での温度管理のデータ喪失、品質管理システムの停止
3. 業務の遅延と復旧時間の長期化
マザーボードの故障が発生すると、迅速な修理または交換が必要です。しかし、古い産業用PCの場合、交換部品が手に入らないことが多く、修理に時間がかかることがあります。業務が停止している間、顧客への納期遅れやサービス提供の遅延が発生することになります。
- 影響例:納品が遅れることによる顧客の信頼低下や契約違反
4. 従業員の生産性への影響
業務用PCが故障してしまうと、従業員はそのPCを使っている業務を中断せざるを得ません。特に、PCを使ってモニタリングや操作が行われている場合、そのシステムの停止は他の作業者にも波及し、全体の生産性が低下します。
- 影響例:オペレーターや技術者が手動での対応を強いられることによる作業効率の低下
5. 安全性への影響
産業用PCは、製造業やエネルギー業界などで安全を確保するために使われている場合があります。マザーボードの故障がそのシステムの機能停止を引き起こすと、重大な安全リスクが発生する可能性があります。
- 影響例:機械の誤動作や、モニタリングシステムの停止による危険の増大
これらのリスクを最小化するためには、定期的なメンテナンスや予防措置を講じることが重要です。
また、故障時の迅速な対応と復旧方法を事前に検討しておくことで、影響を軽減することができます。
マザーボード故障の修理延命事例

日本ピーシーエキスパート
古い産業用PCのマザーボードが故障した場合でも適切な対応を行うことで、業務に与える影響を最小限に抑えることができます。
実際に当社が行ったマザーボードの延命事例をいくつかご紹介いたします。
設備向けPC(Windows 98)のマザーボード故障
Windows 98搭載マシンが起動不能になったと、お客様からご相談をいただきました。
国内では入手困難なWindows 98対応の最新マザーボードを、海外から取り寄せることで対応。ヨーロッパからの調達に3週間を要しましたが、ほぼ新品の状態のものと交換し、PCの延命を実現しました。
これにより、お客様は従来の環境を維持しながら安心して設備を運用できるようになりました。最新のPCへの移行が難しい現場でも、適切な修理により長期使用が可能になります。
学内研究所の研究用パソコン(Windows XP Professional)のマザーボード故障
学内研究所で使用されていたWindows XP搭載の研究用パソコンが故障し、研究に支障が出ているとのご相談を受けました。
症状を確認すると、マザーボードと電源ユニットのアルミ電解コンデンサが破裂しており、これが不調の原因でした。
これらのコンデンサをすべて日本製の新品に交換し、さらにHDDを産業用の高耐久SSDに換装。これにより、耐久性と安定性が向上し、研究業務を継続できる環境を実現しました。
顕微鏡専用PC(DELL Precision 390)のマザーボード故障
国立病院で使用されている顕微鏡専用パソコンが起動しないとのご相談を受け、修理・延命を実施しました。
症状を確認すると、メインボードのアルミ電解コンデンサが破裂し、HDDも寿命を迎えている状態でした。
まず、メインボードをオーバーホールし、HDDの磁気情報を抽出して新品のHDDに完全コピー。これにより、Windowsや各種アプリケーション、データを故障前の状態のまま安定起動できるようになりました。
延命後は、顕微鏡専用端末として快適に使用できる環境を取り戻しました。
このように古い産業用PCのマザーボードが故障しても延命が可能なケースは実際多いです。
日本ピーシーエキスパートでは入手困難な部品の調達から、高度な修理・延命措置まで、豊富な実績と技術力で対応いたします。
また、大切なシステムをそのままの状態で復旧し、安心してご利用いただけるような「仮想化」も可能ですので諦める前に、ぜひご相談ください。
当社のサービスや事例について資料でまとめてご確認いただけます。
-
-
社内での検討や事例をまとめてご覧になりたい方のために、日本ピーシーエキスパートのサービス紹介や会社概要をPDF にてご用意しました。
資料ダウンロード