【事例でわかる】産業用PCのオーバーホールによるリスク対策
2024.07.15技術レポート
産業用PCも適切なメンテナンスを行わずに10年以上使用していると、ホコリがたまったりパーツが劣化したりします。
そこで当社では定期的なオーバーホールをオススメしているのですが、実際、どのようなメンテナンスを行うのかよく質問されます。
今回は当社で行ったオーバーホールの事例を通じて、産業用PCのリスク対策についての理解を深めていただければと思います。
産業用PCのオーバーホールはなぜ必要なのか
産業用PCに限らず工業製品は、いつか必ず故障してしまいます。
これは、避けることはできません。
しかし、故障する前に手を打つことは可能です。
その方法のひとつが「オーバーホール」になります。
故障に至るその前に内部のメンテナンスを行い、劣化した部品などを交換することにより、産業用PCの寿命を延命することは可能です。実際、当社では3万件以上の延命実績があります。
私たち日本ピーシーエキスパートには、国内だけでなく世界各国、あらゆる所からパーツを調達できるルートがあり、他者では調達が難しい部品であっても多くの場合において対応が可能です。
企業のリスクマネージメントとして大切なことは
定期的なオーバーホールにより、自社の産業用PCの状態としっかり向き合うこと。
長年使用している産業用PCの突然の故障により、設備や生産を止めないため、損失を最少で抑えるための手段こそ、オーバーホールなのです。
【事例1】溶鉱炉のコントロール用FAPC(HITACHI HJ-6510-NOSJA)予備機のオーバーホール事例
日本ピーシーエキスパート
愛知県の電子機器製造メーカー様より、故障時に備えるため、予備機のオーバーホールを依頼されました。また、工場内は粉塵が多いとのこと。汚れへの対策もご希望です。
お預かりしたのは、溶鉱炉をコントロールするFAPCです。
ただし、メイン機ではありません。万が一に備えて予め用意してある予備機で、そのメンテナンスのため、オーバーホールを行うこととなりました。
このFAPCを確認したところ、以下に劣化が見られました。
- アルミ電解コンデンサの劣化
- 個体コンデンサの劣化
- 冷却ファンの劣化
- 外部端子の半田部分劣化
- HDDの劣化
そして、依頼主からのご希望である粉塵対策も追加となります。
もちろん、全てに対し、オーバーホールを施しました。
①~③は新品への交換を行い、④は新しくハンダを盛り直し、接点を復活させ、⑤は産業用高耐久SSDへの交換となりました。
粉塵対策につきましては、基盤コーティングにて対応。これで、汚れの付着が起きにくくなります。
以上、考え得る箇所の部品をすべて新品に交換し、またクリーニングも行い、最高の状態で依頼主様へお渡しすることができました。
万が一への備えとして、予備機を作ることは非常に大切なことです。しかし、作ることで満足し、まったくメンテナンスを行わず、劣化したままで放置している企業はとても多いのです。
今回のように、事前に予備機のメンテナンスを行う企業は大変素晴らしいと感じます。
予備機を製作済みの企業様は、必ずメンテナンスを行いましょう。そして、状態を維持させておきましょう。これは、とても大切なことです。
特にCMOSの電池が消耗し、BIOSが初期化され、動作不良になることもあるので、留意しなければなりません。
今回、納品と共に通電の重要さもお伝えできたことは、今後の大きな安心材料になったことと思います。
【事例2】三次元測定機用PC(IBM 300PL Windows95)のオーバーホール実績
日本ピーシーエキスパート
岡山県の製造業様より、三次元測定機用のWindows95パソコンが起動しない旨のご相談をいただきました。業務に支障をきたしており、使えるようにして欲しいとのご依頼です。
この三次元測定機用PCを確認したところ、以下に故障が見られました。
- HDDのクラッシュ
- メインボードの経年劣化
- 電源ユニットの経年劣化
よって、HDDの交換と、使用するためのアプリインストール、そしてオーバーホールをご提案しました。企業様からは提案すべてのご依頼をいただき、対応することになりました。
①は、HDDではなく、より安定性のある新品SSDへ交換しました。その上で、Windows95と三次元測定機アプリの新規インストールを行い、すぐに使用できる状態に整えました。②と③は、オーバーホールを行うことで状態を良くし、今後の故障リスクを抑えられるようにしました。
今回は、クラッシュという最悪の事態に陥ったものの、Windows95のディスクセットや三次元測定機用アプリのインストールフロッピーがきちんと保管されていたことにより、スムーズに対応することができました。
このように、万が一に備え、あらゆる物品はしっかりと残しておいて欲しいと思います。その上で、壊れる(クラッシュする)前に、定期的なメンテナンスをされることをお勧めいたします。
【事例3】O2号機用パソコン(IY-3000,MS-DOS)のオーバーホール事例
日本ピーシーエキスパート
東京都足立区の法人様より、設備メーカーの更新についてのご相談をいただきました。
今回のご依頼者様は商社様です。その商社様の元へパソコン更新の提案が入ったものの、あまりに古く、対応が難しいため、弊社へのご依頼となりました。
確認したところ、パソコン全体に経年による劣化が見られ、部品の交換を必要とする旨をお伝えしました。また、交換のできない希少な部品も見つかり、そこについてはオーバーホールを施すことにより、状態を良くするご提案を行いました。
また、万が一に備え、全く同様の動作をする予備機の製作もお勧めいたしました。
このような対応の場合、通常1か月程のお預かりとなるのですが、生産日程もあり、可能な限り最短であることを希望されたため、以下の内容での対応を行いました。
作業内容
- 正確な診断のため、5日間のお預かり
- 一旦返却し、部品を手配
- 部品入手後に再度お預かり。5日間で修理を実施し、返却。
以上日程にご納得いただき、上記手順にて部品交換とオーバーホールを行い、最短にてご返却。生産への影響を最小限に抑えることができました。
(ちなみに今回は、企業様のご要望にて予備機の製作は行っておりません)
日本ピーシーエキスパートでは、商社や同業他社様を経由して、難易度が高い古い産業用PC修理の依頼が入ることも少なくありません。
もちろん、その場合も対応可能です。
お困りの際は、お気兼ねなくお声掛けください。
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