Windows NTで動く設備のリスクと延命の最適解
2026.1.27延命コラム

「えっ、まだWindows NTのパソコンを業務で使ってるんですか?」
設備を担当されている方なら、一度はこう驚かれた経験があるかもしれません。
Windows NT 4.0がリリースされたのは1996年ですので、約30年が経過しています。そして、マイクロソフトの延長サポートは2004年に終了しており、それから20年以上が経過していますので、そのように驚かれるのも無理はありません。
Windows NTが今も製造現場で使われ続ける理由

Windows NTといえば、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、産業用途で広く採用されたOSです。特に工場の生産設備、研究機関の分析装置、印刷機械など、さまざまな専用機器の制御用パソコンとして導入されました。
なぜWindows NTが今も使い続けられているかというと理由はシンプルです。
設備メーカーがWindows NT専用に開発したソフトウェアは、新しいOSでは動かないことがほとんどだからです。しかも設備そのものは丈夫に出来てますので、壊れずに問題なく動作していることがほとんどです。
数千万円、時には億単位の設備を、たった1台のパソコンが壊れたために入れ替えるわけにはいきませんので、Windows NTを使い続ける企業が多いのも無理はありません。
実際、当社にご相談いただく企業様の中にも、そのような理由で使い続けているケースは珍しくありません。
Windows NTの修理・延命事例
まずは、過去に当社でWindows NTの修理延命を行ったお客様の事例をいくつかご紹介します。
大学研究所様(HP Vectra VLi8SF / リガクX線回析装置)の事例

リガク製のX線回析装置を制御するWindows NT搭載パソコンが故障し、研究がストップしてしまいました。このパソコンが動かなければ、数千万円の装置がただの鉄の塊になってしまいます。
電源ユニット故障に加え、ハードディスクは寿命をとっくに過ぎている状態でした。マザーボード上のコンデンサも全交換が必要なレベルです。
修理と延命を実施した結果、無事に起動し、研究を再開することができました。お客様からは「お陰様で研究を進めることができました」と感謝のお言葉をいただきました。
工場様(IBM PC 300PL / ミツトヨ三次元測定機)の事例

ミツトヨ製の三次元測定機を制御するIBM製パソコンが起動しなくなりました。製造業にとって測定機が止まることは、品質保証ができなくなることを意味します。つまり出荷ができない状態です。
三次元測定機用パソコン全体の診断を行い、お客様が安心して今後もなるべく長期的に使用できる様、且つお客様のお見積もり値にマッチできるような最適内容を策定し、ご納得いただけました。
製造業様(provit 5600パネコン)の事例

工場内の設備を制御する産業用パネコン「provit 5600」が経年劣化により起動しなくなり、業務に支障が出ていました。Windows NT 4.0搭載の特殊機材で、メーカーサポートも終了していました。
電源ユニットとメインボードの重篤な劣化が判明。単なる修理ではなく、将来的な安定稼働を見据えたオーバーホールを実施しました。電源ユニットの修復、基板のコンデンサ交換、CPU冷却機構の整備に加え、劣化したHDDを産業用ストレージへ交換。
貴重な制御データや設定もそのまま引き継がれ、現場の業務を無事に再開することができました。
製造業様(MITSUBISHI SU03-133R / 生産設備用)の事例

生産設備で使用しているWindows NT 4.0のパソコンで、25ピンのドングル(ライセンス認証用のハードウェアキー)を正常認識できず、ソフトウェアがデモモードで起動してしまう問題が発生しました。
海外から同型のマザーボードを取り寄せ、すべてのコンデンサを新品に交換。パラレルポートが正常になり、ドングルを認識できるようになりました。さらにSCSIのHDDをSSDに交換したことで、動作の安定性が向上しました。
印刷業様(PANASONIC PCC-AW400K)の事例

印刷設備を制御するWindows NT 4.0搭載のパソコンが、ある日突然電源が入らなくなりました。印刷ラインが完全に止まり、納期の迫った案件を抱えていたため、一刻を争う状況でした。
診断の結果、電源ユニットとストレージに物理的な障害が発生したことが原因でした。そこで故障部品を産業用の高信頼性部品へ交換する延命修理をご提案。設備を買い替えることなく、以前と全く同じ環境で安定稼働を取り戻すことが可能となりました。
製造業様(電子顕微鏡用端末 / ミラーPC制作)の事例

電子顕微鏡のアプリケーションがWindows NTで動いており、RS-232Cで顕微鏡のピントなどを制御している環境でした。万が一の故障に備えて、まったく同じ環境のミラーパソコン(予備機)を制作しました。
同世代のオリジナルPCを制作し、Windows NTを移植。キャプチャボードを海外から入手し、何度も動作確認実験を行って、確実に動作するミラーパソコンを完成させました。
Windows NTパソコンが抱える3つの致命的リスク
リスク1:部品が入手不可能
Windows NT時代のパソコン部品は、もはや新品では入手できません。電源ユニット、マザーボード、メモリ、CPUファンなど、どれも20年以上前の部品だからです。
当社のような専門会社であれば、世界中のネットワークを使って中古部品を調達することもできますが、それでも100%確実ではありません。修理不可能という結論になることもゼロではありません。
リスク2:すべての部品が同時に劣化している
「今まで動いていたから大丈夫」という考えは危険です。なぜなら、パソコンの中のすべての部品は、同じ時期に製造され、同じ環境で使われてきたからです。
つまり、電源ユニットが壊れたということは、マザーボード上のコンデンサも、冷却ファンも、ハードディスクも、同じように劣化しているということなのです。
電源を修理しても、次はマザーボードが故障する。そしてまた別の部品が故障する。その繰り返しになってしまうのです。
リスク3:故障した瞬間、生産が止まる
PCが故障し設備が止まれば、当然ながら生産も止まります。製造業であれば出荷遅延、研究機関であれば研究の中断などの可能性があります。
生産規模によっては1日の損失が数百万円、数千万円になることも珍しくありません。さらに、顧客からの信頼を失うという、金額では測れない損失も発生します。
Windows NT搭載パソコンの延命の選択肢
Windows NTを延命する選択肢は大きく分けて3つあります。
1:修理+延命(オーバーホール)
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壊れた部分を修理するだけでなく、将来壊れそうな部品もまとめて延命する方法です。
具体的には、電源ユニットの交換または修復、マザーボード上のコンデンサ全交換、冷却ファンの交換、ハードディスクのSSD化などを一度に実施します。
これにより、向こう数年間は安定して稼働させることができます。費用はかかりますが、設備を入れ替えるコストと比べれば、はるかに安く済みます。
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2:PC移植(ハードウェア入替)
Windows NT環境を、新しいパソコンに丸ごと移植する方法です。
レアなパソコンから、入手しやすいパソコンへの移植も可能です。操作方法はそのまま変わりません。ただし、専用の拡張ボードや特殊なインターフェースを使用している場合は、移植が難しいケースもあります。
3:仮想化
Windows NT環境を仮想マシン上で動かす方法です。ハードウェアの経年劣化から完全に解放され、安定稼働が期待できます。
ただし、メーカーのライセンス制限により実施できないケースや、専用ハードウェア(拡張ボードなど)を使用している場合は対応できないこともあります。
また、仮想化には独自の注意点もあります。詳しくは以下のページで説明してますのでご覧ください。
Windows NTが動いているうちに対策を
Windows NTは安定性が高く、多くの産業用設備で長年活躍している素晴らしいOSです。
しかし、発売されて30年以上が経過しています。パソコンの部品には寿命がありますし、「まだ動いている」は、「いつ壊れてもおかしくない」と同じ意味なのです。
壊れてから慌てるのではなく、動いているうちに対策を考えることこそが、設備を守り、事業を守ることにつながります。

森田
もし少しでも不安を感じているなら、まずは延命のプロである私たちに課題を相談してください。御社の設備に最適な延命策を、一緒に考えます。
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