【4000万円超の損失を回避】20年選手の分析装置を救え──富士電機が選んだ“更新”ではなく、「延命」。[富士電機様×丸文通商様×ピーシーエキスパート 対談インタビュー]

-
- 富士電機
- 修理・延命PC移植<
【業種】 電気機器
【事業内容】 エネルギー・環境技術をコアに、「エネルギー」「インダストリー」「半導体」「食品流通」の4つの事業を通じて、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献
【創業】 1923年
【従業員数】 27,391名

- 丸文通商
【業種】 商社
【事業内容】 医用機器・分析科学機器・産業機械販売 機器保守サービス
【創業】 1948年6月
【従業員数】 338名
- 課題
-
- 20年以上稼働した分析装置のPCが突然起動せず、装置全体が使用不能になった
- メーカー修理不可、代理店・保守業者でも対応不可能
- 他社では「直せても装置が動く保証はない」と言われ、更新も現実的ではなかった
- 導入
-
- 同型修理実績を見つけ、日本ピーシーエキスパートへ相談
- 「PC修理ではなく装置を動かす」方針と丁寧な技術説明により採用を決定
- 松竹梅の提案と現地対応により、PC交換後の装置動作まで一体でサポート
- 成果
-
- PC延命が成功し、20年選手の分析装置が復活・現場へ復帰
- 更新費4,000万円+停止による損失(年間720万円)を回避
- 社内で保守の重要性が再認識され、他の分析装置の延命、他部署への展開の余地ができた
パワー半導体の製造・営業・販売を担う富士電機。その生産技術部門では、製造工程を支える分析装置が日々活躍している。今回お話を伺ったのは、同社の生産技術を担当する鈴木様と、分析装置の納入・サポートを担当している商社・丸文通商の木下様。そして20年以上前に導入された分析装置を復活するために、今回PC修理延命を担当した日本ピーシーエキスパート森田が加わり、三者で座談会形式のインタビューが行われた。
20年という年月は、製造現場にとって一つの節目である。装置は常に進化し、新しい設備が登場する一方、既設の装置を停止させないこともまた重要な使命だ。そんな中、ある日突然、分析装置を動かす要となるPCが起動しなくなるというトラブルが発生した。本記事では、その危機をどのように乗り越えたのか、その舞台裏に迫る。
20年稼働の分析装置に起きた“突然の停止”
今回対象となった装置は、富士電機の製造現場で20年以上前に導入された分析機。常時稼働ではないものの、生産トラブルの原因調査やクレーム解析など、重要な場面で必ず必要になる装置だ。
鈴木様は当時を振り返る。

鈴木様
ある日、急に立ち上がらなくなったんです。電源を押しても画面が真っ暗で……。その瞬間、頭が真っ白になりました。本当に“終わった”と思いましたね。


納入サポート業者である、丸文通商の診断の結果、PC基板のコンデンサが液漏れを起こし、寿命を迎えていたことが判明した。装置本体は問題がなくても、PC一台が動かなければ装置全体が“動かない塊”になってしまうのがこの種の分析機の難しさである。
「直せるが動くかはわからない」──他社の難色
突然のトラブルを受け、富士電機はまず付き合いのある複数の業者に相談した。しかし返ってきた答えはどれも似ていた。
「直せる可能性はあるが、直ったPCが装置を動かせる保証はない」
「PCを触れても、最終的な動作確認まではできない」
分析装置はPC内部のソフト・I/Oボード・PCの認識情報・装置本体の状態など複雑な要素が絡む。単純なPC修理だけでは動作保証が難しいのだ。
そのため、「PC修理します」で話を終える業者がほとんどだった。
木下様は当時の感触をこう語る。

木下様
お客様の困りごとは“PCを直したい”ではなく“装置を動かしたい”。でも、多くの会社はPC修理しかできない。更新提案はできますが、予算は4,000万円以上。現実的ではないと思っていました。
他社が難色を示す中で見つけた“延命の可能性”
「装置が動くまでやる会社」──日本ピーシーエキスパートとの出会い
解決策が見えない中、木下はネットで型式を検索しているうちに、日本ピーシーエキスパートのサイトへ辿り着く。同型の修理実績が掲載されていたことが大きかった。
-
木下様 :
-
まさに同じような分析装置のPC修理実績が出てきたんです。これなら……と思って相談しました
今回対応した森田曰く、同社が他社と異なるのは「PC修理」は目的ではなく、手段であること。つまり「装置を動かすための延命」を目的とした取り組みであることだ。
PC修理だけでなく、装置が動くまで現地に立ち会う DOSなど古いOSの挙動を理解した“装置側の論理”からの解析 交換後の認識差異・I/Oの不一致まで踏まえた総合対応。
これらは一般のPC修理業者では対応できない領域だ。
鈴木様は初回の説明で安心したという。
-
鈴木様 :
-
ブラックボックスみたいな装置なので、普通は専門用語だけ並べられるんですが、日本ピーシーエキスパートさんは画像や事例を見せてくれて、とても分かりやすかった。
装置を動かすことがゴール’という説明にも納得できました。
社内決裁のため、同社は“松竹梅”の3プランを提示。結果として、予算の通るラインで決定し、本格修理がスタートした。
PC修理では終わらない──装置復活までの技術的挑戦
修理後の現場でのPC接続テストでは、PCは起動するが、装置が動作しないというトラブルに見舞われた
実際の修理は一筋縄ではいかなかった。森田は装置のログを解析し、PC交換後に稼働できない要因を切り分けていった。
装置との通信は、複数枚の特殊通信ボードを使用しており、すべてのボードが正しく動作しないと、装置は正常に動作しない。PCは起動するが、装置が動作しない状況において、それぞれのボードは、「BIOSレベルでの認識」「OSレベルでの認識」「通信信号での認識」すべてにおいて正しく動作しなくてはならず、一つでも異常がある場合は、装置は絶対に動作しない。
これらをひとつずつ潰していく必要があった。
木下様は横で見ていて驚いたという。
-
木下様 :
-
普通のPC屋さんなら絶対にやらない作業を黙々と続けていて……。PC修理じゃなくて、装置メーカーの仕事でした。
鈴木様も同様だ。
-
鈴木様 :
-
森田さんと一緒に画面を見ながらひとつずつ原因を探って、最後に装置が動いた瞬間は本当にホッとしました。
最終的に、PCは多くの新品部品構成で延命され、装置も復活。20年選手の分析機が再び現場に戻った。

延命の価値は4千万円超──技術継承を守るという成果
延命がもたらした価値──“4,000万円の回避”と“社内技術の維持”
今回の延命で、富士電機は少なくとも 4,000万円以上の更新費用 を回避した。
さらに、更新した場合には半年以上の納期がかかり、その間に発生する外注依頼や不具合解析の停止リスクも存在した。
鈴木様によると、解析1件あたりのコストは約40万円。
年間18件ほどの依頼があるため、影響は 720万円/年 に及ぶ。
しかし、金額以上に大きいのは「技術の喪失」だと鈴木様は強調する。
-
鈴木様 :
-
この装置は我々の分析ノウハウそのものなんです。もし失われたら社内の技術が途切れてしまう。お金に換算できない損害でした。
今回の延命は、それらすべてを守る結果となった。
「ただのPC修理業者ではない」──社内評価と今後の期待
富士電機社内では今回の延命事例が共有され、「保守の重要性」があらためて注目されるようになったという。予算の制約で後回しになっていた部分が、今回の“危機”をきっかけに再検討されている。
また、鈴木様は他部署にも日本ピーシーエキスパートを紹介済みだ。
-
鈴木様 :
-
設備を分解して入れ替えるような大掛かりな更新は、正直現場では難しい。その中で、既存品を動かしながら延命し、装置全体を見てくれる会社は本当に貴重です
木下様からも評価は高い。
-
木下様 :
-
更新提案が正義ではない場合がある。お客様が本当に必要としているのは“技術を守ること”。今回のような延命対応は本当に価値がありました。
森田は最後にこう締めくくった。
-
森田 :
-
PC修理は目的ではなく手段。我々のゴールは“装置を動かし続けること”。今後も、その役割を担っていきたいと思っています。
おわりに
20年稼働してきた分析装置が復活した今回の事例は、単なるPC修理ではなく「技術継承を守るための装置延命」の価値を示している。
更新でも買い替えでもない──
“現場の技術を未来につなぐための第三の選択肢” が、確かに存在する。
製造現場を支える一台の分析装置。その影には、メーカー・商社・修理会社、それぞれの立場を超えて「技術を繋ぎたい」という思いが重なっていた。

お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
※ 担当者の顔写真は、個人情報保護のため加工しておりますが、インタビュー内容は事実に基づき正確に掲載しております。
こちらのインタビューもご覧ください
INTERVIEW
-

- 富士電機様
-
【4000万円超の損失を回避】20年選手の分析装置を救え──富士電機が選んだ“更新”ではなく、「延命」。
-

- 熊本大学 産業ナノマテリアル研究所様
-
【2000万円の損失を回避】国立大学唯一の火薬実験施設、20年選手のPC延命で設備更新を回避
-

- MHIハセック株式会社様
-
【数千万円の損失を回避】替えが利かない超特殊検査装置を守る ― PC延命という選択
-

- 山形県食糧様様
-
【数千万円の損失を回避】止まらない精米ラインを仮想化による迅速対応で実現!
-

- 株式会社 東京サニックス様
-
【1億円規模の損失を回避】老朽化した制御PCの延命修理で設備更新を回避
-

- MOLZA株式会社様
-
【億単位の損失を回避】見捨てられたPCを蘇らせた、信頼の技術
-

- 高エネルギー加速器研究機構様
-
【50億円の損失を回避】25年稼働の重要PCを延命修理──研究継続を支える“最後の砦”
-

- トーイン株式会社様
-
【数千万円の損失回避】箔押印機用PCの故障により生産が停止・・・PC延命で設備入替を回避
-

- ベルギー大使館様
-
【3000万円の損失を回避】ビル管理システム用PCを仮想化により延命成功
-

- 国立大学法人 信州大学様
-
【数千万円の損失を回避】老朽化した制御用PC修理で研究設備の延命に成功!
-

- 生活協同組合連合会アイチョイス様
-
【1000万円の損失を回避】業務用パソコンの“延命”が支えた、現場の安定稼働
